今年はめずらしく一月半ばに、成田にも大雪が降りました。
そんな日にびっくりするようなことが・・・。
深夜2時、電話がなりました。
患者さんは、12才のゴールデンレトリバーでお腹が急に張っているということでした。
12時位までは、元気に雪の中で遊んでいたそうです。
いやな予感がしました。大型犬でこの時間帯に急に腹部が張って苦しがっているといえば、胃捻転か胃拡張です。
すぐに、来院してもらいましたが、いやな予感はあたってしまいました。
腹部は胃ガスで膨らんで、歩くのもやっとという感じでした。
外側から太い針を刺して胃ガスを抜き、少し胃の圧を取ったところでレントゲンをとると逆Cラインという胃捻転に特徴的な所見が見られました。
胃捻転ってどんな病気?
急性胃拡張に伴って起こることが多い、胃が捻じれてしまう病気です。大型で胸の深い犬が急激に大量の食餌を食べ、その直後に急激な運動をしたりすると発症をしやすいとされています。
捻転により大きな血管が圧迫され、いろんな臓器に影響を及ぼす病気で、治療を施しても死亡率がかなり高く15~68%ともいわれています。症状としては、お腹が大きく膨れる、苦しそうに呼吸をする、吐こうとするが吐けないなどです。
治療経過
手術のために、スタッフを2名呼び出しました。雪の後、道も凍る深夜、車で来させるのは心配でしたが、スタッフが、2名駆けつけてくれました。術前の検査や準備をし、午前5時頃手術がはじまりました。
お腹を開けると大きくゴムボールのように胃がふくらんでいました。
胃は捻じれて本来あるべき位置に十二指腸がありません。減圧をして、胃を回転させて元の位置に整復しました。
胃カテーテルを挿入すると、3リットルもの水が、出てきました。
そうです!胃捻転の原因は雪だったのです。
まさに"雪やこんこん・・・犬は喜び庭かけまわる。"
大好きな雪をお腹いっぱい食べちゃったのですね。
術後の経過もよく、1週間後には元気に退院していきました。
獣医師からひとこと
大型犬を飼われている皆さん、十分食餌の内容、給与時間には気をつけて下さい。